* 杉並区がふるさと納税に反対する理由とは? * ふるさと納税制度に杉並区が異議を唱える背景 * 杉並区のふるさと納税反対に見る、制度の課題 * なぜ杉並区はふるさと納税を受け入れないのか?その真相に迫る * ふるさと納税問題:杉並区の抵抗と制度の矛盾

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ふるさと納税、ちょっと待った!杉並区が徹底反対するワケを徹底解剖!



杉並区が作成した「住民税が流出しています」のチラシは大きな反響を呼んだ

「ふるさと納税」ってみんなやってるけど、

本当にお得なの?

実は、東京の杉並区はずっと反対してるって知ってた?

今回は、杉並区がふるさと納税にNO!を突きつける理由を深掘り!

知って得する税金の裏側、覗いてみよう!

1.ふるさと納税ってそもそも何?

2008年にスタートしたふるさと納税。

地方と都市の税収格差をなくすのが目的だったんだって。

でも、これって実は「寄付」なんだよね。

応援したい自治体を選んで寄付することで、税金が控除される仕組み。

2023年度にはなんと1兆円を超える規模に!

でも、返礼品競争が激化したり、問題点も多いみたい…。

2.杉並区が反対する理由とは?



インタビューにこたえる増田賢二さん

杉並区はずっとふるさと納税に反対

その理由を、区役所の担当者に聞いてみたよ。

  • 返礼品競争が激しすぎて、まるでネット通販みたい
  • 税収格差を是正するなら、地方交付税があるじゃん!
  • ふるさと納税は、自治体同士で税金の奪い合いをさせてる

だから、杉並区は一貫して反対してるんだって。

3.過激なポスターで話題に!杉並区の訴え

杉並区は以前、「住民税が流出しています」っていうポスターを作って話題になったんだ。

区民からは、

  • 「よく言ってくれた!」
  • 「行政サービスを守るために、返礼品目当てのふるさと納税はしない」

っていう声も上がったんだって。

2024年には、マンガ形式の冊子を作って、ふるさと納税について考えてもらうきっかけを作ってるんだね。

4.杉並区から260億円が流出!?

杉並区からの税金流出額は、累計260億円



ふるさと納税による区民税の流出額は、年を追うごとに増加。2024年度は約53.3億円が流出した

このまま流出が続くと、行政サービスに影響が出る可能性も…!

でも、杉並区は返礼品合戦には参加しないんだって。

その代わりに、杉並区ならではの魅力的な体験を返礼品にしようと計画中!

5.杉並区の新たな挑戦!

2025年度から、杉並区は返礼品を拡充するみたい!

でも、それは返礼品競争に参入するって意味じゃないんだ。

杉並区の魅力を発信して、地域経済を活性化させるのが目的!

アニメコンテンツや高円寺阿波おどりなど、杉並区ならではの返礼品に期待大!

まとめ:ふるさと納税、もう一度考えてみよう!

ふるさと納税は、お得な制度に見えるけど、実は色々な問題点があるんだね。

杉並区の訴えを聞いて、ふるさと納税についてもう一度考えてみるのもいいかも。

税金の使い道や、本当に応援したい地域について考えて、賢くふるさと納税を活用しよう!


杉並区が作成した「住民税が流出しています」のチラシは大きな反響を呼んだ

ふるさと納税は大都市と地方都市の税収格差を是正することを目的に、2008年にスタートしました。ふるさと納税という名称ですが、実態的には寄付です。一般的に“寄付”という漢字を充てますが、公文書やふるさと納税など行政関係では寄附という漢字を用いています。寄附制度による税額控除を整えたことで、自分が応援したい自治体を選んで“納税”できるようになったのです。

ふるさと納税がスタートしてから15年以上が経過しました。2008年度に約81.1億円だった受入額は年を経るごとに増加し、2023年度末時点で1兆1,175億円を突破しています。

一般的にも馴染みになったふるさと納税ですが、返礼品合戦が激化するなど弊害も指摘されています。

制度のスタート時から、一貫して反対をしてきたのが東京都杉並区です。なぜ、杉並区はふるさと納税に反対するのでしょうか? 杉並区区民生活部ふるさと納税担当の増田賢二さんに話を聞きました。

インタビューにこたえる増田賢二さん

区としての危機感から刺激的なポスターを制作

――杉並区は、ふるさと納税が始まった当初から反対を表明していました。改めて、その経緯から説明をお願いいたします。

増田:ふるさと納税は2008年5月から始まった制度ですが、ふるさと納税がスタートした当初は返礼品の上限額が決まっておらず、地場産品の基準もゆるく、過去の報道によると、寄附額の5割~6割ぐらいの金額に相当する返礼品を用意することで高額の寄附を受けようとする自治体もありました。

また、その自治体とは無関係のワインや家電といった返礼品を用意していた自治体もありました。このような過度な返礼品競争によりさまざまな問題が起きました。

そうした問題が起きるたびに、ふるさと納税制度は改正されました。現在、返礼品は寄附額の3割までと制限され、地場産品の基準も厳しくなっています。

ふるさと納税は納税という名称がついていますが、自治体への寄附という扱いになります。これまでにも自治体への寄附は可能でしたが、ふるさと納税制度が始まり、自治体からの返礼品がクローズアップされました。返礼品があることによって、返礼品合戦につながり、官製ネット通販と揶揄される理由にもなっていると受け止めています。

ふるさと納税制度の目的のひとつには、地方自治体間の税収格差の是正に資することが含まれています。すでに地方交付税という地方自治体間の税収格差を是正する制度があります。

すでに税収格差を是正する制度があるのに、ふるさと納税はわざわざ新たな制度をつくって、地方自治体間の競争を煽り立てて税の取り合いをさせているわけです。そのため、杉並区はふるさと納税制度に一貫して反対してきたのです。

――杉並区は、以前に「住民税が流出しています」という刺激的なポスターを制作・配布しています。行政のポスターにしては攻めたコピーですが、当時の流出額は17億円程度でした。

増田:あのポスターを制作したのは、流出額が10億円を超えて、区も危機感を覚えていた頃です。かなり攻めたポスターだったので、ネットでも大きな話題になりました。行政が制作するポスターで、これほど直接的なコピーをつけることは珍しいので、「炎上商法」だと指摘もありました。

「区民税が流出しています」の翌年にも、「あなたのふるさとはどこですか」というチラシを作成・配布しました。

区民からは、「よく言ってくれた」「そんなに区民税が流出しているとは知らなかった。行政サービスを守るためにも返礼品目当てのふるさと納税はしません」といった賛同する意見も多く寄せられました。

その一方で、「ふるさと納税を増やそうとする努力が足りない」「ふるさと納税をしないと、自分が損をすることになる。自己防衛のために、ふるさと納税をしている」といった杉並区のスタンスを懐疑的に見ている意見も寄せられていました。さまざまな反応がありましたが、ふるさと納税という制度について考えてもらえる機会になったと思います。

そして2024年には、わかりやすいマンガ形式の冊子も制作して区立中学校の全生徒やイベント来場者などで配布しています。

このマンガでは、本当にふるさと納税は必要な制度なのか? 寄附が有効に使われているのか? 官製通販になっているのではないか? ということをご家族や身近な人と改めて考える機会にしていただきたいと思っています。

杉並区は2022年に新しい区長が就任しました。区長が代わっても、ふるさと納税に対する区の基本的な姿勢に変化はありません。ふるさと納税制度に問題があるという認識は共通しています。

杉並区が作成したふるさと納税への理解を求めるパンフレット

杉並区のパンフレットでは、区民税が流出するという問題点を説明している

杉並区が作成・配布したふるさと納税マンガ

杉並区長の岸本聡子氏

杉並区では累計260億円の区民税が流出

――2019年からは、総務省に認可されないとふるさと納税ができなくなるという制度変更がありました。東京都はふるさと納税に反対し、指定団体としての届出もしていません。杉並区は届け出をして、指定団体になっています。東京都のように、届け出をしないという反対表明もできるかと思います。

増田:杉並区はふるさと納税、つまり自治体への寄附そのものに反対をしているわけではありません。例えば、2011年3月の東日本大震災や2024年1月の能登半島地震では、ふるさと納税がフル活用されて被災地に多くの支援が集まりました。こうした被災地・被災者を助けるといった使われ方もありますので、ふるさと納税すべてを否定しているわけではありません。ただ、過度な返礼品競争を否定して健全な寄附文化を醸成すべきと考えているだけなんです。

一方では、ふるさと納税は納税者自身が税金の使い道を選べる制度でもあります。そのため、寄附者から共感が得られる寄附の使い道をつくることが大切だと考えています。

そういったことを踏まえ、杉並区の寄附メニューに賛同して寄附していただいた方が、寄付金税額控除が受けられるように指定団体の申請をしています。

――東京・大阪は税収が多いから自主的な行財政運営ができますが、地方都市は税収が少なく、難しい面があります。政府は、ふるさと納税の目的を税収の格差を是正して、地方でも自主的・自律的な行政運営を可能にするためと説明しています。

増田:ふるさと納税制度で自治体同士が競争することで、潤う自治体があれば、厳しい思いをする自治体もあります。地方交付税を活用して国が調整すべきものを、返礼品によって一部の自治体に偏ってしまう可能性が生まれてしまいます。

地方交付税は、国が定めた基準に基づいて算出した結果により、財源不足が生じる地方公共団体に対して財源不足額の大きさに応じて国から交付されています。

交付団体となった自治体は、ふるさと納税によって流出した税額の75%を国から補填されることになっています。

例えば、神奈川県横浜市はふるさと納税によって年間で約300億円程度が流出しています。ところが、横浜市は交付団体なので損失額の4分の3を国から補填してもらえるのです。

その一方で東京23区などの不交付団体は、補填をしてもらえません。この点についても問題があると考えています。

杉並区は2024年度の流出額が53億3,000万円でした。これまで杉並区から流出した累計は約260億円となり、このまま流出が拡大していくと行政サービスに影響が出る可能性があります。

ふるさと納税による区民税の流出額は、年を追うごとに増加。2024年度は約53.3億円が流出した

――杉並区の2024年度における流出額は約53億3,000万円とのことですが、10年前の2014年度と比べると流出額は133倍に増えています。それほど流出額が増えたことで、実際に行政サービスが立ち行かなくなったケースはあるのでしょうか?

増田:立ち行かなくならないよう、経営努力をしています。ただ、このまま流出額が増えていきますと、今後の歳入の状況によっては、行政サービスに影響が出る可能性があります。

そうした状況に手をこまねいているのではなく、2025年度からふるさと納税の返礼品を拡充することにしました。

「お礼の品はありません」というふるさと納税

――これまでにも杉並区では、ふるさと納税で「荻外荘(てきがいそう)の復原・整備」「児童養護施設・里親からの巣立ち応援」といったメニューを揃えています。

増田:荻外荘は杉並区で初めて国の史跡に指定された場所の復原です。なので、国の文化財を保護するという意味からふるさと納税のメニューに加え、広く寄附を募ることを決定しました。国指定史跡になったことで、文化庁の指導を受けながら忠実に復原することが求められました。復原にあたっては、元々あった部材を可能な限り使うなどの必要があります。

それら保存されていた部材を専門家の方々に確認してもらい、使える部材は全て活用することになるため、文化財の復原は通常の工事よりも費用がかかります。このようなことから荻外荘の復原・整備は、ふるさと納税を活用しています。

あと、2024年度から杉並区が取り組み始めているのが、児童養護施設で育った子供達の退所後の生活基盤をつくるための費用補助です。新生活を送るには家電や家具、衣類など必要なものを揃えなければなりません。その一時金を支援するというメニューを加えています。

――杉並区のパンフレットを拝見すると、荻外荘の復原も含め「お礼の品はありません」と明記しているメニューがあります。正直でいいと思いますが、なぜ返礼品を出さないのでしょうか?

増田:賛同していただいた事業に全額を活用しています。そのため、返礼品を用意していません。しかし、基金に対する寄附に対しては、以前からふるさと納税の返礼品として障害者施設でつくっている品々を返礼品に用意しています。

障害者施設などでつくっている商品が返礼品として寄附者へ贈られることで、その障害者団体の活動を知ってもらうことにつながります。善意の寄附によって、ひとつの好転的な流れを生むような寄附は杉並区としても奨励しています。

これまで杉並区が用意する返礼品は区内の福祉団体がつくったものだった

返礼品合戦には参入しない

――ふるさと納税で税が流出しても、杉並区は返礼品合戦には頑なに参入しないのですね。

増田:2025年度から、これまでの健全な寄附文化の醸成という基本姿勢を堅持しつつ、障害者施設が製作した製品に加え、杉並区の魅力の発信や来街者の増加による地域経済の活性化につながる返礼品の拡充に向けて準備を進めています。

返礼品の拡充は、激化する返礼品競争に参入するという意味ではありません。区の魅力の発信と来街者の増加による地域経済の活性化に寄与することが目的です。また、区が返礼品としたものを区民に見ていただくことで、区の魅力の再発見につながる効果も期待しています。なりふり構わぬ過度の返礼品競争に参加しようとは考えていません。

そのほか、モノではなくコトの返礼品も用意しています。例えば、先ほども触れた荻外荘の復原もそうですし、杉並区立杉並芸術会館(座・高円寺)に関するものや旧杉並第四小学校跡にあるイマジナスというサイエンスラボでの体験など、杉並区で体験していただけるものを考えています。

これらは10月に拡充予定ですが、これで終わりではありません。杉並区には、文化・芸術、食、まつり・イベントなどさまざまな魅力があります。それらの関係団体などから多くの意見をいただいておりますし、ほかにも「アニメコンテンツをうまく活用できないか?」といった声もあります。それらを精査して、返礼品を増やしていきたいと考えています。

今からアニメ会社と調整をしていくと、スケジュール的に2025年度中に返礼品に加えることは難しいのですが、将来的には杉並区の魅力を発信できるような形でアニメ関連の返礼品ができるとよいと思っています。

また、高円寺の阿波おどりは杉並区の行事として定着しています。今夏には間に合いませんが、来年度は高円寺阿波おどりに関連するふるさと納税の返礼品も用意できたらいいと思っています。




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