20代30代必読!深刻化する日本の自殺問題と、私たちにできること
1. 衝撃の事実…日本の自殺事情
日本の自殺者数は、依然として深刻な状況です。2023年は2万1,837人。一日平均約60人が命を絶っている現実…これは決して他人事ではありません。
特に問題なのは、G7諸国の中で最悪の自殺死亡率であること。他の先進国と比較しても、日本の自殺者数は圧倒的に多いのです。
さらに、10代~20代の若年層における死因のトップが自殺という現実も…。未来あるはずの若者たちが、自ら命を絶つ社会の構造的な問題に、私たちは向き合う必要があります。
2. なぜ日本は自殺が多いのか?複雑に絡み合う要因
自殺の原因は一筋縄ではいきません。過労、経済問題、健康問題、家庭問題など、様々な要因が複雑に絡み合っているケースが多いのです。
例えば、リストラや失業による経済的な不安、長引く不況による生活苦、そして過酷な労働環境…これらは、多くの日本人が抱える共通の悩みと言えるでしょう。
さらに、「貧困と格差の拡大」「社会保障や医療制度の改悪」「過度の競争的教育」といった社会構造的な問題も、深刻な自殺問題の背景に潜んでいます。
3. 変わるべき社会、求められる具体的な対策
自殺は「個人の問題」ではなく、「社会構造上の問題」です。誰一人として、追い詰められて自殺を選ばなければならない社会であってはならない。
そのためには、以下の対策が不可欠です。
- 経済政策の根本転換: 貧困と格差を解消し、国民が安心して暮らせる社会を実現する。
- 社会保障・医療制度の改善: すべての人が健康で文化的な最低限度の生活を送れるよう支援する。
- 生活保護バッシングの終焉: 困窮者を支える制度を、社会全体でしっかりと支える。
- 過労死の撲滅: ブラック企業を放置せず、働きやすい環境を作る。
- 競争的教育の是正: 子供たちが心身ともに健康に育つ環境を整える。
- いじめ問題の解決: 学校や職場におけるいじめをなくす。
- データの透明性: 自殺に関する詳細なデータの公開を求め、対策の精度を高める。
- 心の健康支援の充実: うつ病対策など、メンタルヘルスケア体制の強化。
4. 私たちにできること
政治に期待するだけでなく、私たち一人ひとりができることもたくさんあります。
- 周りの人に「大丈夫?」と声をかける
- 困っている人がいたら、相談にのる
- メンタルヘルスに関する知識を深める
- 自殺防止に関する活動に参加する
小さな一歩でも、積み重ねることで大きな変化につながります。
一人ひとりが命の大切さを改めて認識し、自殺のない社会を目指していくことが重要です。この問題を他人事と考えず、自分事として捉え、共に未来を築いていきましょう。
2025年参議院選挙各分野政策
83、自殺対策
自殺防止に全力を尽くし、自殺者をつくりださない社会をめざします
2025年6月
わが国の2023年の自殺者数は2万1,837人となり、対前年比44人の減となりました。近年では2010年以降9年連続で減少していましたが、2020年に10年ぶりに増加になりました。2006年に自殺対策基本法が制定されて以降、行政の対策や社会的な努力がおこなわれてきましたが、1日平均で約60人もの人が自殺していることは、それ自体が異常な事態であり、さらなる支援が求められています。
とくに日本の自殺の現状を考えた場合、2つの点で深刻な問題があります。
一つは、他の主要国と比較しても自殺者の数が多いことです。G7(主要7カ国)で見た場合、10万人あたりの自殺死亡率は、日本が16.5と最悪で、アメリカ14.6、フランス13.0、ドイツ11.1、カナダ9.2、イギリス8.2、イタリア6.2となっており、日本は群を抜いています。(世界保健機関WHO資料、2024年2月)
もう一つの深刻な問題は、10代から20代の、いわゆる青年層の死因のトップが自殺になっていることです。厚生労働省の「自殺対策白書」(2024年版)によれば、年齢階級別の死因をみると、10歳から29歳までの年齢層の死因のトップが自殺です。なかでも、10代の小中高生の自殺の増加は深刻な状況で、2023年には513人になりました。
こども世代の深刻な状況に対処するため、2025年6月に改正自殺対策基本法が成立しました。学校で心の健康保持のための健康診断をおこなうことや、2026年度から学校・教育委員会・児童相談所・自殺対策にとりくむ民間団体などで構成する地域協議会の設置ができることが盛り込まれました。
前途にもっとも希望をもてる、もつべきはずの世代が、自死を選ぶ社会は、やはり構造的な病弊をかかえているといわざるをえません。
自殺は、「個人の問題」ではなく、「社会構造上の問題」といわれます。自殺の多くは「追い込まれた末の死」です。それだけに、「避けられる死」であり、とりわけ「多くの自殺は社会的支援があれば避けることができる死」だとされます。だからこそ、「だれも自殺に追い込まれることのない社会」をつくるために全力を挙げなければなりません。それこそが政治の責任です。
自殺にいたる原因(動機)は、過労によるものなど明確に一つに特定できる場合もありますが、そのような例はけっして多くはありません。たとえば倒産や失業、多重債務などの経済問題にくわえて、自分や家族の病気、介護などの健康問題もからみ、一方で事故や家庭内の問題もかかえるなど、複合的な要因が複雑にからんでいる場合が多々あります。
だからこそ、一人ひとりがかけがえのない命をもつ大切な個人なのだというメッセージを、政治や社会が発するとともに、そうしたメッセージにふさわしい施策を、全国民的に目に見える形で推進していくことが求められます。過労で自殺に追い込むなどということは絶対にあってはなりませんが、ブラック企業を放置したり、弱者を切り捨てたりするような経済、社会保障政策はただちに転換させなければなりません。
そのためには、なによりも、貧困と格差を拡大してきた経済政策を根本的に転換し、社会保障や医療制度を改悪してきた政策を改め、すべての国民が、憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営める」生活を送れるような施策を講じる必要があります。また、生活保護をバッシングするような風潮を一掃するとともに、対立と分断の社会から、連帯と共同の社会へと転換させることがもとめられています。
この間、「アベノミクス」が大々的に喧伝されてきましたが、庶民のくらしはいっこうに向上しないどころか、二度の消費税増税で、ますます苦しくなってきました。働く人の実質賃金は1997年から2023年までの約30年で74万円も低下しました。非正規雇用が拡大し、社会保障の削減、高すぎる学費などが、格差と貧困に拍車をかけてきました。
自殺の原因をとりのぞくためには、以下に上げる個々の対策も重要であり、いっそうきめ細かく対応してゆく必要があります。同時に、重要なことは、安定した雇用の確保、中小企業の経営の安定、生活保護の切り捨てをはじめ社会保障改悪の中止など、国民のくらしをささえ、健康を守る政治です。過度の競争的教育の是正や、学校でも職場でも「いじめ」をなくすなど、個人の尊厳と権利を尊重する教育と社会への転換です。
自殺問題の解決にむけて、当面、以下の施策を実行することを求めます。
――各自治体や、自殺・貧困問題にとりくむNPO(非営利法人)などを中心に自殺対策の努力が広がっており、こうした機関・組織などと連携しながら、自殺の未然防止、問題の改善と解決に向け努力することが重要です。
――警察が収集し、内閣府が保有している地域別、職種別などの詳細な自殺をめぐるデータが非公表とされています。自殺対策をすすめるために、プライバシーに配慮しつつ、データの公表を求めます。
――子どもの自殺の根本的原因を調査研究することは、政府に対し国連からも勧告されています。要因分析を実施し、子どもの自殺の防止措置をとることを求めます
――うつ病対策などのメンタルヘルス(心の健康)の問題にも、政府や行政が積極的に取り組み、心の病を患っている人にたいし、適切なケアを施す体制を、職場や地域に確立するよう求めます。保健や医療だけにとどまらず、福祉、教育、労働などとも連携をはかれるよう体制整備が必要です。
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